明治42年(1909年)に函館公園内の木造の「協同館」を借り受けて私立函館図書館が開設され,大正4年(1915年)には相馬哲平の寄付により不燃質書庫の建設に着手する。
東京の設計事務所葛西辰野事務所に依頼し、辰野金吾が設計した。
函館山側の採光窓(50箇所)は鋼製サッシュでワイヤ硝子を入れ,市街地側は無窓である。出入り口は防火戸として書庫機能に徹した5階建ての建物で大正5年に完成した。

 
 
 屋根は切妻の洋瓦葺きである協同館とは渡り廊下で連結されていた。1階の定礎銘版に「行啓記念函館圖書館文庫相馬哲平寄附大正四年十月三一日定礎」とある。  
 構造形式 書庫棟
初期の鉄筋コンクリート造である。1階には大正4年に打設したコンクリートの立方体ピースが保存されている。
 
 書庫棟 内部意匠
各階の階高は低く,木製の書棚が密に配置されている
 
 外部に面する出入り口の建具はスチール枠に漆喰が塗り込められている。  

大正15年(1926年)には,私立函館図書館の市への移管と,3階建ての鉄筋コンクリート造の本館建設が函館市会で議決され,工事に着手する。昭和2年(1927年)11月に本館棟が完成し,翌年7月に「市立函館図書館」として開館した。設計は小南武一。小熊幸一郎など財界人も寄付をしました。

先に建設されていた書庫棟とは,それぞれ2階と1階,4階と2階で渡り廊下により連結されている。
閲覧室(本館2階)に繋がる書庫入口
 

○昭和9年(1934年)函館大火(24,186戸焼失,死者2,166人,行方不明662人)が発生する。この際に木造の協同館は焼失するが,本館棟と書庫棟は焼失を免れた。

○昭和15年には,本館棟の屋上に木造の書庫が増築されている。創建当時は陸屋根であったが,この時点で現在の屋根の形となり洋瓦葺きとした。○昭和38年(1963年)に鉄筋コンクリート造地下1階,地上2階を本館棟の閲覧室側に増築した。


建物正面の外観は左右対称であり,玄関ポーチへは左右の階段を用いる。ポーチの円柱,玄関上部の3連アーチ窓,壁面のスズランの意匠,洋瓦屋根と狛犬,などが特徴的である。 

  

 内部意匠 本館棟・増築棟
1階の風除室玄関の床はタイル仕上げで,出入り口の欄間には帆船やブーケをモチーフにしたステンドグラスがはめ込まれている。廊下階段の床は人造石研ぎ出し,腰壁は木製の鏡板張りで統一されている。階段の手すりは木製,手すり子は鋼製であり,手すりの親柱に彫刻が施されている。

 
 移動書架室の大梁の両端はアールとなっている。    
2階の開架貸出室は梁間が大きく,梁はアーチ形状となっている。天井もこの形状に合わせた木造下地で,漆喰で仕上げられている。漆喰の繰型が配置されている。
3階の書庫は陸屋根の上に木造で増設されたもので,陸屋根時代の塔屋,床の屋根面,パラペット等が残存している。構造部材である屋根を支えている小屋組材と書棚が一体となっている

.旧函館市立図書館探見

  「函館の図書館と歩む会」では、11月6日午後1時30分から旧函館市立函館図書館の見学会を行いました。当日は約50人が参加して館内を見学しました。   
 函館市の図書館の歴史は、明治40年(1907年)に岡田健蔵宅に緑叢会附属図書室を開設したことに始まる。
岡田健蔵(1883〜1944)は西洋ろうそくの製法を研究し文献を探すなかから、函館に図書館を設けて各種の産業の発展を促す必要性を感じ図書館の建設を企図した。
右は中央図書館にある岡田健蔵の胸像